子どもたちの賑やかな遊び声が響き渡る、春休みの1日。とある場所で、白熱のカルタ大会が実施されました。
息づかいさえも聞こえてきそうな緊張感漂う決勝戦、読み手の声に耳をそばだてると、、、
「た」田んぼの宝石 蛍のお尻
「こ」米どころ うんめえ飯だ 作岡米
「や」矢造りで ヤマトタケルの 歴史の地
めちゃめちゃ地元ネタ!しかも、なんてパンチの効いたイラスト(>▽<)
そう、行われていたのは「筑波山麓いかっぺカルタ~作岡編~」を使った初のカルタ大会。
ご当地ネタが満載なのもそのはず。カルタに詠まれている舞台は、TXつくば駅から車で25分ほど、筑波山の南西方向に位置する作谷、安食、明石、寺具、入会、新白水などつくば市内の地域。
このエリアに住む子どもたちが通っていた作岡小学校を含む周辺の2中学校7小学校が今年4月から統合し、つくば市立秀峰筑波義務教育学校として歩みをスタートさせています。
そこで、141年間続いた作岡小の歴史に幕を下ろす記念にと、閉校実行委員だった保護者らが奮闘し制作したのがこのカルタなのです。
読み札の内容は、児童やその保護者、教員たちからもアイデアを募集。自然や農作物、作岡小あるあるや住民の温かい人柄、文化人との関わりなど、茨城弁で「いいでしょ」を意味する“いかっぺ”に表わされるように、地元自慢がふんだんに盛り込まれています。
強烈なインパクトを残す絵札のイラストを担当したのは、メンバーの一人ナ○○トさん。また、カルタを包む風呂敷の染めを担当したのは、作谷で染色を行う「ぷにの家」を主宰し“いかっぺプロジェクト”を牽引する柿崎優子さん。「誰もがなにかの天才」と話す優子さんの言葉通り、メンバーそれぞれがアイデアと特技を活かし合い、さらに地域に縁のある企業の協力を得てカルタ誕生の運びとなりました。
そして、作岡小最後の在校生となった児童150人も参加。「ち」の絵札には自身で描いた自画像が印刷され、風呂敷の端には直筆のイニシャルを書き染めました。
楽しく記念に残る物をと、地域の宝を伝え継ぐカルタを提唱し続けた優子さんは移住者の一人。染色の活動拠点を求めこの地へ移り住み、出会う人たちの人柄や豊かに実る農作物、自然が生み出す恵みの数々は特別な輝きを持ってその目に映りました。
「例えば、畑でたくさん野菜が採れれば近所におすそ分け。この辺に住む人たちにとっては当たり前の文化だけれど、それってなんかすっごく良くないですか?」
そんな作岡ならではの“いかっぺ”が並んだテーブルで楽しむ、一家団欒カルタ大会がこの地域で迎える正月の恒例行事となっていったら。そんな光景を想像して、思わず笑みがこぼれます。
作岡編としたのには、閉校記念品としての用途を越え、地域を盛り上げたいと願う優子さんが抱くある夢が。それは、これをきっかけに各地域でカルタづくりの輪が広がっていく未来。
「秀峰筑波に統合された学校があった地域ごとにネタを集め、それぞれのいかっぺなところを持ち寄り互いの魅力を知ることで、より良い学校を作っていく動きにつながってほしい。目指すは、筑波山麓いかっぺカルタ~秀峰筑波編~!」
優子さんが藍で染めた風呂敷には、筑波山が描かれている。男体山と女体山からなるその姿の見え方は、暮らす地域によって少しずつ違う。
「それぞれの街から見える筑波山が描かれた札があったら、面白いですよね」
そう楽しげに語る優子さんの様子に、「筑波山麓いかっぺカルタ」から生まれ得る次なる展開に期待せずにはいられないみっきぃがお届けしましたᕕ( ᐛ)ᕗ