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~手織と暮らし展~河野佑太さんが紡ぐ日々

つくばスタイル特派員 TAKAKO Blog 
2021年12月13日

皆さん、こんにちは!TAKAKOです。

 

つくばエリアに住まう魅力をより多くの人に知ってもらいたいと、お届けしている「つくばスタイルブログ」。

先日、あるアーティストに“つくばに暮らす魅力”って何だと思いますか?と尋ねたところ、こんな答えが返ってきました。

 

何かを始めようと思ったとき、良い先生が近くにいること。

なかなかいないであろう師が、この地にはたくさんいることです―。

アフリカンドラムの奏者であり、現在は手織り作家でもある河野佑太(遊唄)さんは、笑顔でそう答えてくれました。

 

 

11月19日から27日までつくば中央公園市民ギャラリーにて開催されたのは、つくば在住の作家河野佑太さんによる個展、

「手織と暮らし展『ぼくをつくっているもの』―Everything that makes me―」。

 

佑太さんといえば、アフリカンドラム“ジャンベ”の奏者として以前にもブログでご紹介しましたが、コロナ禍で1年以上に渡り音楽活動が制限されてしまったのを機に、手織という新たな自己表現の場を開拓。今回は、この1年8カ月の間に佑太さんが製作した33点の手織のストールと、その布を使用した小物が展示・販売されました。

 

 

手織のことをほとんど何も知らない特派員に、実際に織っているところを見せたいと、約束の時間より早く会場に入って準備を進めていてくれた佑太さん。

綜絖(そうこう)と筬(おさ)と呼ばれる部品に経糸(たていと)を通しながら、手織の世界に魅了された訳を教えてくれました。

 

 

佑太さんが手織を始めようと思った発端は、尊敬する造形作家のKINTAさんから、ジャンベの演奏の際に着る衣装を自ら作ってみたらどうか?自分で作れば、出る音も変わってくるかもしれないよというアドバイスがあったからだそうです。

以前からおしゃれ好き。服飾に興味があり、買い物も好きだったという佑太さんでしたが、いつしか自分の“買いたい欲”は、実は“作りたい欲”だったのではないかと思うように。そんなときにKINTAさんからの助言があり、それならば生地から作ってみようと、自宅からほど近い距離にある「atelierゴーシュ」で手織体験に参加したことが始まりでした。

 

 

緯糸(よこいと)は数えきれないほどの種類の中から自分の好きな糸を選び、上下に張られた経糸の間にシャトルで飛ばすようにして渡し、織り進めていきます。

 

手織の作業は誰にでもチャレンジできるものでしたが、織り進めていくと、良くも悪くも想像したものと全く違う色が出てくるのが非常に面白かったのだそう。

途中で緯糸を変えればダイナミックに変化する。頭の中の「こうしたい!」がすぐに形になり、織るごとに次のイメージがどんどんと湧き上がっていく感覚にあっと言う間に魅了され、のめり込んでいきました。

 

 

ジャンベの活動を共に行っている奥さまのきくこさんは、もともと絵描きでもあり、洋裁も得意。

佑太さんの手によって織られた布は、ストールだけでなく、きくこさんの手仕事で洋服に仕立てられ、この日佑太さんが着ていたベストもそうして作られたオリジナルのものでした。

また、会場では色とりどりの手織のアクセサリーも販売されていました。

 

 

コットン、ラムウール、シルクと、用いられる糸の種類によって風合いが異なるストール。

藍の葉をミキサーにかけて漉し、その絞り汁で水色に染めたシルク100%の“藍の生葉染めストール”は、汗をかいてもすぐに乾くため、夏にも使えます。

シルクでもウールでも、佑太さんの作るストールは全て水洗いができ、アイロンをかけることもできるので、汚してはいけないと緊張しながら身にまとう必要はないんですね。

 

 

“買いたい欲”は“作りたい欲”だったという発想の転換は、手織のほかにも、佑太さんをさまざまな手仕事へと誘いました。

 

木工、畑、竹細工。

 

木工では、手織の道具がジャストサイズで納まるこだわりの大型キャビネットを自ら作り、ストールをかけるためのハンガーやハンガーラックも杉材の手作り。

畑では家族が食べるための野菜を育て、そうして採れた自然の恵みを運ぶのは自身で編んだ竹かご―。竹かごは、つくば市北条で出会った作家、橋本千菜美さんの竹細工に惚れ込んで教わりに行っているのだそうです。

 

また、色鮮やかなストールの中でひと際凜とした姿を見せていたのは、佑太さんが生けた野の花々。

こちらは土浦市を拠点として活動する華道家、小春丸さんに師事しているとのことでした。

 

 

いろいろなものを自分で作ると、生活を自分のものにしている感覚があってシンプルに気持ちがいいんですという佑太さん。

便利な世の中になった今では自分の“作る力”を忘れてしまった人が多いけれど、自ら作ることで作り手の苦労が分かり、周囲の人への感謝の気持ちにもつながるといいます。

 

 

「ものづくりは、同時に自分をつくっていく作業だった」

作りたいという気持ちに素直に、そして謙虚に歩んできた少年のような瞳が印象的な佑太さん。

 

何かを始めようと思ったとき、良い先生が近くにいること。

なかなかいないであろう師が、この地にはたくさんいること。

つくばの良いところをそんな風に語る佑太さんですが、今ではもう、自身がそのうちの一人。

会場には、佑太さんのパパ友・ママ友の姿もありましたが、子どもが通う保育園や学童クラブでも佑太さんはいろんなものを作ってくれるのだと嬉しそう。一作家としてだけではなく、ものづくりを通して地域の人に愛されている、そんな佑太さんの素敵な一面を最後に知った特派員TAKAKOなのでした^^

 

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