誕生日、結婚記念日や旅立ちの時。特別な日に彩りを添えるお花の贈り物。
あの人が喜ぶのはどんな雰囲気かな?インテリアには、こんなお花が似合うかな?相手のことを考え、思いを巡らす時間は楽しい。
どんなアレンジメントができあがるのか、あの人はどんな表情でそれを受け取ってくれるのか。そんな想像を膨らませる時間は、尚愉しいもの。
確かな花材選びとセンスが光る技術、贈る人、贈られる人の想いに寄り添った丁寧な仕事で、花と植物で想いを繋げる花屋さんがいます。
2017年の秋からつくばに拠点を置き、ブーケやアレンジメント、ウエディングのオーダーを受けている「Blanc(ブラン)」。お客さんとの出会いや会話を大事にしながらお花を届けたいとの想いから、月に数回、同市内にあるカフェcoxやBlackboardで出張花屋を開いています。
前の週に降り積もった雪がうっすらと残っていたこの日。カフェの庭にやわらかい陽射しが差し込む中、少しずつ移ろい始めようとしている季節の変化を、花たちが優しく凛とした佇まいで知らせているよう。キンと冷たい冬の空気を、柔らかく包み込んでいました。
出張花屋では、一輪からの購入も可能。お気に入りの一本を選ぶことから、花のある生活の愉しみは広がっていきます。
「花を長持ちさせるためのコツとは別に、その生け方や器選びなどに何が正しいかはありません。選んだ花にはどんな花器が合うか、部屋のどこに飾ったら良いかと想像してみたり、使ってみたい花器や花の状態に合わせて思い切って長さを変えてみたり、先入観を持たずに自分ならではの楽しみ方を見つけてみてください」と、オーナーの小高央之さん。
買ったお花はささっとお洒落に束ねてくれるので、友だちの家へ遊びに行く時のお土産に、お世話になった人へちょっとした気持ちをお花で伝えてみるのもおすすめです。
「一本一本の色合いや動きを見ながら、そのものが持つ本来の美しさや姿を生かしたい」
そう話す小高さんが作り上げるブーケやアレンジメントは、ナチュラルで伸びやか。同じ種類の花でも、一本一本に個性があることに気が付かされます。
また、「変化を楽しんでもらえるような花屋でありたい」という言葉の通り、セレクトする花や植物には、花開いた後、朽ちていくその変化をも眺め続けていたいと思わせる美しさが宿っているよう。
可憐に咲いたその姿に、昨日までとは違う動きを見せる様子に魅せられ、はらりと花弁が落ちる姿に生命あるものの刹那を思う。花や植物、そのものが持つありのままの美しさに、見るものの感性が瑞々しく潤っていくのを感じさせてくれます。
頭の中に浮かぶイメージを花で形にしてみたい。湧き上がる気持ちに突き動かされるように、花の道を歩んできた小高さん。「花や植物を通して季節を届けたい」と語るその姿勢には、独立前に6年間務めた南青山の名店「Le Vesuve(ル・ベスベ)」のエスプリが受け継がれているといいます。
春夏秋冬、その移ろいを感じることができるのも、四季が巡る日本だからこそ。「旬の食べ物を味わうように、その時ならではの花や植物をつくばから届けていきたい」謙虚に、だけど凛とした揺るぎない表情で話す姿がとても印象的でした。
花の姿を確かめながら、滑らかな手つきで色とりどりの花を束ねていく小高さんの周りには、引き寄せられるように人々が足を留める。
「きれいな花ですね」「珍しい色合いのお花。なんていう品種ですか?」
そんな会話に始まり、いつの間にか他愛のないおしゃべりまで。
会いに行きたくなる花屋さんの存在は、この地で暮らす人たちの生活をより豊かに、愉しいものに変えてくれる。また一つ、ワクワクする出会いに春爛漫気分なみっきぃがお届けしましたᕕ( ᐛ)ᕗ
【Blanc(ブラン)】
ウェブサイトからのオーダーの他、月に数回つくば市内のカフェなどで出張花屋も。詳しくはInstagramなどでご確認ください。