みなさん、こんにちは。つくばスタイル特派員のしらゆきです。
科学技術について、一般の人にも理解を深めてもらおうと始まった毎年4月の科学技術週間。
国や民間を合わせ100を超える研究機関が集積する「科学の街」つくばでは、市内にある研究機関の一部が一般公開されます。
ふだん立ち入ることのできない施設を見学できる絶好の機会とあって、毎年多くの人が見学に訪れます。
私が向かったのは、つくば市南原にある、国土技術施策総合研究所(国総研)と土木研究所。
この二つの研究所は、90年以上の歴史を持つ国内最大の土木研究機関です。
安心・安全な社会のため、防災やインフラ整備に取り組んでいるという研究所。
土木技術全般に関して、道路、河川、ダム、土砂災害の研究を主に行っているのだとか。
とても広々としていますが、それもそのはず。東京ドーム約27個分という126ヘクタールもの広大な敷地を有し、中には約60の実験施設があります。
今回の一般公開でも、見学場所までバスで敷地内を移動します。
一般公開が平日ということもあり、市内の中学生が見学に来ていました。
中には、自転車で訪れていた中学生のグループも。
中学生のうちから、日本最先端の研究を自転車で来て見学できるとは!
つくばエリアの教育環境は、本当に恵まれていますね~♪
私がまず見学したのは、1周約6キロの試験走路を大型バスで走るというもの。
この試験走路では、ふだんは道路の走行性や安全性、環境保全に関するさまざまな実験を行っているのだとか。
今回の一般公開では、傾斜が27~28度もあるカーブを時速100~120キロで走る「高速走行」を体験。
まるで競輪のバンクを大型バスで走っているかのよう!
身体が斜めになり、バスの窓から路面が見えるというスリルに、バスの中でも歓声が起こるほど。
手に汗を握る体験となりました。
次は、砂防工学実験室で「流木捕捉実験」を見学しました。
土石流が発生したときに、「砂防えん堤」という土石流をせき止めるものがとても重要です。
これがないと、土石流と共に流れてきた流木が橋につまり、水が川を流れず氾濫してしまいます。
実験では、水や砂利を流して土石流にみたて、「砂防えん堤」でどれくらいの流木が倒れてくるかを見ます。
こうした実験をもとに工事が行われ、防災・減災につながっているのですね。
次に向かったのは、騒音実験施設。
道路の騒音をどのように解消できるかを実験している施設です。
無響室は音の反響をなくすために、「吸音クサビ」と呼ばれる特殊な構造になっていて、寄木細工のようなものが壁と天井一面をおおっています。
室内に入ると、耳を覆われたような違和感が…。手をたたいても、大きな声をだしても、音が響きません。
反対に残響室は、音が響きやすい部屋になっています。
どれくらい響くかというと、残響室に入る手前の通路での話し声が反響するほど。
天井には板が取り付けてあり、音を反響させる造りになっています。
市内の中学校から見学に来ていた、女子中学生のグループに感想を伺いました。
「自分の住んでいる身近な場所に、このような研究施設があることに、びっくりしました」と話してくれました。
つくばエリアで、自分たちの暮らしを守る技術が研究されている様子を実際に見学し、勉強になったそう。
「騒音を普段気にしたことがなかったので、改めて考えるいい機会になりました」とも。
見学中も記録用に写真を撮影したり、メモを取る中学生の姿もあり、みなさんが熱心に学んでいる様子が印象的でした。
今までは、なんとなくでしか思い描けなかった土木研究。
私たちが安心して日常生活を送れるように、さまざまな技術の研究がされていることがわかり、ひとつ身近なものになりました。
他にもダムの放流実験や波浪実験といった一般公開もあり、まだまだ見どころが!
今度はすべての実験を見学したいと思う、しらゆきがお届けしました。
■国土交通省 国土技術施策総合研究所
つくば市旭1番地
■国立研究開発法人 土木研究所
つくば市南原1-6