みなさん、こんにちは。つくばスタイル特派員のしらゆきです。
今年も「科学技術週間」の時期となりました。
「科学技術週間」とは、科学技術について一般の方にも広く理解してもらおうと昭和35年に制定されたものです。全国の各機関にて、この時期に合わせてイベントや一般公開などを実施しています。
60回目の節目を迎え、さらに平成最後となる今回の科学技術週間。つくば市内の研究機関などでも一般公開や特別展示などのイベントが開催されています。
今回私が訪れた、つくば市上沢にある「国立公文書館つくば分館」は、平成10年(1998年)に設けられました。
「つくばウェルネスパーク」や「筑波北部緑地」の近くにあり、多くの車が行きかう幹線道路から奥まった静かな場所にあります。
国の歴史的に重要な公文書などを保管・管理している機関で、歴史的に価値のある資料を身近に感じられるような企画展を随時開催しているのだそう。
科学技術週間の時期に合わせて「明治を支えた情報通信」という企画展が開催されていました。
今では、電話やインターネットで遠く離れた場所にいる相手とすぐに連絡を取ることができます。しかし、郵便や電信、電話などの情報通信の制度や技術を日本は明治初期にどのようにして導入していったのか、ご存知でしょうか。
それに関わった人物や資料を展示し、情報通信の近代化について知ることができる企画展となっています。
「公文書」を通して、日本の情報通信における近代化を見てみようという視点が実に面白いものとなっています。
初めてわが国で郵便切手が発行されたのは明治4年。龍の絵が描かれていることで「龍文切手」と呼ばれています。
こちらにあるのは資料として保管されているもので、実際の切手ではなく、「みほん」と書かれています。本物の龍文切手は収集家の方には知られているようですが、見本となるとさらに珍しいものなのだとか。これを見るために訪れる方もいるほど貴重な資料です。
私たちにも馴染みのある郵便マーク(〒)が制定されたのは明治20年。それから今に至るまで、同じマークが使われています。
それまでは日の丸に横棒が入ったようなものでしたが、当時の郵便業務を取り扱っていた逓信(ていしん)省の頭文字の「テ」の字から採用されたものなのだそう。それほど長い間同じマークが使われていたとは知りませんでした。
公文書を読み解くことで、江戸時代から続いている飛脚制度は明治時代になってもまだ続いていたことがわかります。それが馬、鉄道、船、航空機と郵便物を運ぶ手段も時代に沿って変化していきます。そんな時代背景も知ることができる貴重な資料ばかりです。
明治時代の情報通信技術の導入には相当な努力と苦労があり、そのおかげで日本の情報通信の発展があったのですね。
また、企画展のほかに、展示室を見学することができます。地元茨城県に関する公文書や資料が展示されている常設展示(レプリカ)のほかに、一部、企画展で紹介されている本物の資料を見ることができました。
原本が見られるのは、企画展開催中だけだそうです。
展示ケースに収められている龍文切手の見本は思った以上に色鮮やか。明治時代のものとは思えないほど鮮明なものだったので、驚きました。
文書は保存状態にもよりますが、紙質や染料が良いと色も鮮やかにはっきりと残っているのだそう。
レプリカになりますが、「大日本帝国憲法」や「日本国憲法」、「終戦の詔書」の公文書が展示されていました。教科書でしか知らなかった人物の署名のくせや筆跡をじっくり観察するのも面白そうです。
戦時中や戦後の文書は紙質や染料があまり良くなく、物資不足などの背景もみることができるのだとか。
「終戦の詔書」では、急いで文書を書き起こし、苦心してまとめた様子が文字や書き方から垣間見ることができます。実際の公文書を見たからこそ、分かってくることの多さを改めて感じました。
歴史を紡いできた公文書を読み解き、保存し、新しい次の世代に引き継ぐという公文書館。子どもと一緒に訪れてみてもさまざまな発見がありそうです。
まもなく平成という時代が幕を下ろし、令和の時代がやってきます。
こちらで販売されている平成クリアファイルを購入すると、平成の幕開けのタイミングを再現することができますよ。
平成最後の思い出に、写真撮影はいかがでしょうか?
以上しらゆきがお届けしました。
■国立公文書館つくば分館
所在地 つくば市上沢6-6
電話 029-867-1910
休館日 日曜、土曜及び祝日