大学生という身分は大人と子供の境目であって、
両親から仕送りを頂きつつも、
自分ではすっかり独立した気分になってしまう。
地に足が着かなくなるほど背伸びして、
社会人が享受しているもののうち、
甘い部分だけを吸って見たくなる。
そんな外面だけが先行した、
なんとも宙ぶらりんな時期である。
おかげさまで、自らが働いているからこそ出来るような豪華なこと、
例えば、フルコースにカクテル、フルーツの盛り合わせにデザートなど、
お一人様で諭吉さんが2人ほど財布から逃げていってしまうほどの食事がしてみたいものなのだ。
そしてついついやってしまうのである。
とは言えそもそも財布には英世さんはいても、
諭吉大先生が2人いることなどはめったに無い。
ではどうするのか?
上記の豪華な食事を、
自分たちですべて用意してしまうのである。
大学の学生は同じ学部に所属していても、
その興味は多種多様。
従事しているアルバイトもばらばらで、
8人ほど集めたら料理人にケーキ職人、バーテンダーが大体そろう。
もちろん、その道のプロには敵わないけれども、
僕らももう大学4年生、
アルバイトに従事してから2年を超える人間がほとんどなので、
味も十分に保証できる。
そして仕事の内容がそのまま趣味になってしまう人も多く、
カクテルのシェイカーやケーキの型、刺身用の柳刃包丁などをそろえている人間もいるので道具も事欠かない。
こうした面々がそろったときの集まりの食事は実に豪華。
社会人でもなかなかお目にかからないほどのもの。
そしてかかる費用は材料費のみ。
何ともすばらしい。
社会人になってしまえば誰かの家に大勢で集まるのも難しくなり、
ましてそういった技能を持った人も見つけにくくなってしまうだろう。
大学生だから出来る事だ。
そういう意味では、
僕らが憧れている社会人になって大きなお金をポンと使ってする食事よりも、
むしろずっと贅沢な食事なのかもしれない。
モラトリアムは誠に有難い時間です。
<文責:伊藤>