みなさん、こんにちは。つくばスタイル特派員のしらゆきです。
例年春のこの時期に開催される「科学技術週間」。
科学技術について、一般の方々に理解と関心を深めてもらおうと昭和35年に制定されたものです。
「発明の日」である4月18日を含む一週間を「科学技術週間」とし、さまざまなイベントが開催されています。
“科学の街つくば”では、この「科学技術週間」にあわせて、市内にある研究機関のうち28カ所が一般公開されました。
普段は立ち入ることのできない施設の中を見学することができる、貴重な機会となっています。
「薬用植物資源研究センター」は、つくば市内を走る「サイエンス大通り」と呼ばれる県道19号線から細い路地を入ったところにあります。
こちらは、薬用植物について研究している施設です。
薬用植物とは、薬の原料となる植物のこと。漢方薬に使われるものやミント、バジルなどハーブも含まれます。
それらの大切な資源を絶やさないように研究を進めている場所なのです。
今回の一般公開で見学できるのは、研究本館とよばれる建物内部にある標本や展示物、そして外にある標本園です。
小さなお子さんを連れた家族や年配の方まで、来場者の顔ぶれは、さまざま。
この日は朝からあいにくの空模様でしたが、10時からの公開に合わせて、多くの方が見学に訪れていました。
展示では、たくさんの植物がずらりと並びます。
これらはすべて薬用になるもの。
甘味料になる「ステビア」など知っているものもあれば、初めて知る植物もたくさん。
「エンゼルトランペット」の名前でも知られているこちらは“キダチチョウセンアサガオ”。
この植物は全体に有毒物質を含み、瞳孔が開いたり意識障害を起こしてしまうのだそう。
「花や葉などを触った手で目をこすったりすると、危険です」と解説員の方。
人間には毒であっても、凛として咲く美しい佇まいに、つい見とれてしまいました。
こちらは「オタネニンジン」(チョウセンニンジン)。 万能薬として有名ですね。
“サポニン”という成分が人間の免疫機能をアップさせ、疲労回復や糖尿病、がん治療にまで使われているというこの「朝鮮ニンジン」。
栽培するのには、並々ならぬ苦労があるのだとか。
種をまいてから発芽まで1~2年。大きく育つまで4年ほど。収穫するまでに大変時間がかかり、育てる環境も難しいのだそう。
2階の展示スペースには、漢方薬に使われる生薬についての展示がありました。
植物などの天然物をそのまま使う薬のことを生薬というのだそう。
ずらっと並ぶ生薬。「マオウ」や「カンゾウ」など聞いたことのあるものもあります。
生薬は、日本で栽培されているものもありますが、年々その量が少なくなっているのだとか。
輸入品に頼らず、薬用植物を国内で生産できるよう研究をし、それを活かして日本の地域振興、技術力向上を目指しているのだそう。
日本でもなじみのある風邪薬の「葛根湯」は、風邪のひき始めに飲むと効果を発揮する漢方薬です。
その原料となる7種類の生薬が展示されていました。
名称は耳にしたことがあっても、実物を見たことのある方は少ないのではないでしょうか?
その一つ、「ケイヒ」のもととなる“シナニッケイ”です。これほど大きなサイズは珍しいとのこと。
よく見るとわかりますが、丸太ではなく、木の皮だけなんですよ。
外の「標本園」では、100~200種の薬用植物を育てています。
ハーブなど、さきほど見てきた展示物が実際に畑に植えられている様子を見ることができます。
来場者には、ハーブの苗やスパイスのうれしいプレゼントも。
いただいたバジルとドクダミの苗は、青々とした葉を広げて、とても元気いっぱい♪
バジルは日当たりのいいところで栽培するとよく育ち、ドクダミは一度植えるとほとんど絶えることのない丈夫な植物なのだとか。
ズボラな私でも育てられそうな気がしてきました。
早速植え替えて、元気に育ってくれるようお世話にしていきます。
以上、しらゆきがお届けしました。
■国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 薬用植物資源研究センター
つくば市八幡台1-2