どーも、ヤギッチです♪
つくばで刀鍛冶を始めた人がいるという噂を聞きつけ、つくば市蓮沼にある「筑波鍛刀場」に伺いました^^
全国に刀鍛冶は300名ほどいると言われています。茨城県では刀剣作家の宮下正吉さんのみとのこと。
そもそも刀鍛冶と呼ばれる職人は、あくまでも刃の部分を作っている職人。
日本刀全てを一人で製作しているのではありません。
「研師」「白銀師」「鞘師」「塗師」「柄巻師」「装剣金工」など、さまざまな職人さんの手によって、1本の日本刀は仕上げられています。
刀鍛冶になるには文化庁主催の実地研修会を終了する必要があります。
宮下さんの話を伺うと、研修というよりも試験といった方が良いかもしれません。
それも受験資格は、刀匠資格を有する師匠に弟子入りして5年以上の方のみ。
数日かけて審査員が見ている前で実際に刀を作り、実力がないと途中で振り落とされるのだとか…シビアです!(><;
宮下正吉さんは、刀鍛冶の登竜門と呼ばれている日本美術刀剣保存協会主催の「新作名刀展」で、2013年に新人賞と努力賞を受賞しました。写真は、その受賞作品。
侍の時代ではなくなった今、日本刀は登録が必要な美術品として親しまれています。
鑑賞のポイントを、宮下さんにレクチャーしてもらいました^^
日本刀は「姿」「地肌」「刃文」の3つの見どころがあります。
姿とは、日本刀全体の形のこと。
地肌とは、刃の模様のこと。…模様があるんだ!と初めて知りました。
刃文とは、切る部分の模様のこと。大きく分けると「直刃(すぐは)」と「乱刃(みだれば)」に分類されます。写真は乱刃です^^
刃文、研いでできるものかと思ったら、違うのだそうです!この刃文を付ける工程は、個々の刀鍛冶の秘術なのだとか。
次に、日本刀の作り方を本当に簡単に教えてもらいました。
たたら製鉄によって玉鋼(たまはがね)を抽出し、さらに良質な鉄のみになるよう水へしという作業を行います。
熱したものを薄く打ち延ばし、水に入れて急冷し焼きを入れます。写真左下にあるのが、打ち延ばしたもの。
次に積み沸かしという作業。
てこ棒という鉄の棒の先に鋼を積み重ねて和紙で包み、藁灰と粘土をかけて、火床へ入れます。
熱すると湯が沸いているような音がするため「積み沸かし」名が付いたとされています。鋼がどれほど熱したか、炎の色や形などを見て判断するのだそうです。
また藁灰と泥状の粘土を表面に付けることで軽酸化膜ができ、酸化から守り鉄の減りを防ぐ効果があります。脱炭を防ぐとともに、中心からムラ無く温度をあげることができるのだとか。
そこから、「鍛錬」となります。これが「刀鍛冶」と聞いたとき、イメージする作業風景。
「折り返し鍛錬」で鉄を幾重にも重ねて打つことで、日本刀のみどころの1つ「地肌」が生まれます^^
また鍛錬には、鋼に含まれた炭素が均一化され、強度が上がるという効果もあります。
次は、「素延べ(すのべ)」「火造り(ひづくり)」を得て、刀へと成形します。
そして「土置き」。
刀の見どころの「刃文」を付ける工程です。これは、職人さんごとにさまざまな工夫を凝らしている職人の顔とも呼べる技とのこと。企業秘密の部分となります。
そして「焼き入れ」。ここで見どころの「姿」が決まります。
焼き入れとは、形成した刀をじっくりと800度ほどに熱し急冷することで、日本刀の反りが現れます。これまでの工程で培った日本刀のしなやかさが表現される、大事な工程の一つ。
そうしてできた刀に鍛冶研ぎや銘切りなどの作業を行い、ようやく刀鍛冶の手を離れます。
金属といえども、柔らかいものや硬いものさまざま。
それらを火の具合を見て溶かし着け、重ね合わせて鍛錬し、冷やして形成する…。
刀鍛冶の仕事は物理や化学、地学などさまざまな理科的要素が含まれています。
「昔の人は科学のデータなどではなく、それを工夫で見つけたのだからすごいですよね」と語る宮下さん。
日夜問わずに根を詰める研究者もすごいと思いますが、そこへ「技」も習得しなければならない刀鍛冶。
「基本、師匠から手とり足とり教わるなんてことはありません。見て覚える。それでも『これは絶対に教えない』という師匠秘伝の技がある…という世界です」
弟子に入ると、炭を切り分けるところから覚え、修行は一生続くとのこと。
刀鍛冶の作業は、冬から春に火を起こす作業を行い、夏から秋にかけては、鍛冶の道具を作ったり、炭を切り分けたりしながら準備をするのだとか。
また、火を使う作業は炎がよく見えるように、夜に行われます。
カン!カン!カン!という響きが、新たなつくばの冬の風物詩になるかもしれません♪
筑波鍛刀場では、見学も受け付けています。
見学の際は、宮下正吉さんまで事前にご一報を!(080-5141-9772)
以上、火の粉が怖くて近寄れなかったヤギッチがお送りしました♪