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伝承される灯火「多気太郎万灯会」

つくばスタイル特派員 ヤギッチ Blog 
2013年08月16日

どーも、ヤギッチです♪

 

筑波山神社へ続く参道「つくば道」の起点となるなど、古い街並みを残すつくば市北条地区。
先日ここで代々伝承されている、「多気太郎」という人物を奉る「多気太郎万灯会」が、多気太郎の命日とされる8月7日に開かれたので行ってきました♪

 

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幻想的な風景~♪
ろうそくの炎の揺らぎ、いいですね~^^ 夏ですね~!

 

毎年、万灯会が開かれる8月7日、北条地区は雨に濡れます。
「多気太郎の涙雨」と地元では言われていて、必ず降るそうです。不思議ですね…。
私が取材に行った日も北条地区は30分ほどのゲリラ雷雨がありびしょ濡れになりました(^^;

 

多気太郎は、いったいどういう人物なのでしょう…?なぜ、雨が降るの…?
今回は、北条地区で伝承されている歴史をご紹介します♪

 

平安時代に桓武天皇の流れを持ち、平将門を討った平貞盛の子孫が、北条付近の地域を治めるようになりました。
その中の惟幹という人物が、北条地区にお城を作りました。
お城は残念ながら残っていませんが、お城があった場所の山を地元の人は「城山」と呼んでいて、言葉として城跡が残っています。

 

この万灯会の主役である多気太郎は、この城の6代目。本名は「多気義幹(よしもと)」と言い、平安時代末期から鎌倉時代初期に生きた人物です。

 

なぜ多気太郎が北条で語り継がれてきたのか?
それは、多気太郎が地元の農民のために灌漑用水を作ったからかもしれません。

 

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この用水路、「裏堀」と地元では言われ、実際に今でも農水路として使われています。
埋め立てられたり、上に道路をかぶせることもなく、鎌倉時代の用水路が現役バリバリとは!
多気太郎がいなければ、つくばのブランド米「北条米」もできていなかったかもしれません。そう考えると、本当に感慨深いものがあります。

 

しかし、この用水路を多気太郎が作った時代は鎌倉幕府ができたばかりの不安定な世の中。
多気城のすぐ近くに城を持ち源氏贔屓だった八田知家は、平家の流れを持っている多気氏を乗っ取ろうと、この灌漑用水工事の件を「多気氏ときたら戦に協力もせずに、こっそり人を集めて兵力増強してますけど、放っておいて良いんですか?」と、時の権力者である源頼朝に虚偽の報告をしました。

 

当然、源頼朝は激怒。
いくら多気太郎が弁明しても頼朝は許してくれず、領地を没収された上、駿河の国で見張られながら生活する羽目になりました。
そして、多気太郎は濡れ衣を着せられたまま、8月7日に没します。

 

しかも八田知家は多気太郎の従兄弟…親戚の裏切りとは、悲劇です。
だから、「多気太郎の涙雨」なんですね。
毎年、雨が降るのもうなずけます。

 

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それにしても、多気太郎は地元想いの人物ですね。乱世の中、地元の農作物のために灌漑用水を作るなんて。

また、多気太郎も地元の人から愛されていたのでしょう。
こうして伝承されているのも愛されていた証拠ですが、もう一つの裏付けに、駿河で没したと言われている多気太郎のお墓とされる五輪塔が、今も北条地区に残っています。
鎌倉時代のお墓が、それも負けた側の城主のお墓が残っているというのは、珍しいのではないでしょうか?

灌漑用水がどれほど人々の生活を豊かにしたのかは不明ですが、地元の方の多気太郎に対する敬愛が要所に感じられました。

 

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万灯会でも、五輪塔にお年寄りから子どもまでたくさんの人がお参りに来ていました。
戦に負けてもこうして名前と功績が残って参拝されているなんて、ある意味、多気太郎は幸せ者ですね♪

 

この多気太郎万灯会、実は約10年前にその灯が消えたことがあります。
それを5年ほど前「多気太郎は北条の礎を作った大事な人物だから」と、地元の若者が中心となり、筑波大学の学生たちと協力して復活させました。

古くから地域に根付いている伝説は、その土地の隠された歴史を紐解く重要なカギとなるはず。

それに地域でひっそりと伝承されている話はどれも臨場感があって、教科書では学べない「生きた歴史」を感じて、私は好きです^^

 

多気太郎万灯会は、その歴史を次世代へ継ぐためにも大切な伝統行事。
歴史を重んじてきた北条地区の若者だからこそ、伝承される多気太郎という人物を忘れてはいけないという意識があって、お祭りを復活させたのだろうなと思います。

 

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飾られている万灯は、北条小学校の3年生が万灯に絵を描いたそうです。
こうして、多気太郎は次世代へと語り継がれているんですね♪
今後もこの灯火を消さないでほしいな…。

 

以上、水戸黄門の横にいた格さんの子孫だという説があるヤギッチがお送りいたしました♪

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