こんにちは。染谷です。
前回の記事では、小濵様がどのようにして、カスミの経営者になられたのか、というお話をしました。
今回はどのようなことを考え、カスミを経営しているのか、をお話します。
Q.つくばに関してどのようなイメージを持っていますか?
A.私が初めてつくばを訪れたのは、1986年のつくば科学万博の際。
ダイエーでパビリオンを出すことになって、つくばの地を踏みました。
当時は殺風景でしたが、
「これから発展する街」というイメージを強く感じましたので、
カスミから声をかけられた時も「つくばなら良いか」と思い、
カスミに移りました。
つくば万博の頃は開発の影響で
「コンクリートジャングル」といった様相を
呈しており、冷たいイメージがありましたが、
今では道路の街路樹などが大きくなるにつれ、
街の基盤が出来てきたなと思いました。
つくばは国の研究機関が集まる「科学の街」という
都市の性格が決まってきていますが、
昔からある田園町村の魅力もあり、
「互いが主張しあいながら存在する」
素晴らしい街だと思っています。
Q.多くの会社が都会に本社を構える中、
なぜカスミはつくばを本拠地として活動するのでしょう?
A.カスミのコアビジネスは「食品ビジネス」です。
食べ物は地域に根ざしたものであり、
生産地こそが店を構える場所です。
このことは、他地域に展開するナショナルチェーンが、
地域のチェーンに食品ビジネスで勝つことのできない
理由でもあります。
茨城は全国でも稀に見る食の生産地であり、
食品ビジネスに有利ですし、
近年の交通機関の発展でつくばは東京と
大して情報の量・質に差がなくなっています。
つくばはカスミの本拠地として適しているのです。
Q.現在のカスミの経営は、どのようなことを考えて
行っていらっしゃるのでしょうか?
A.私は「地域と苦楽を共にする」ことが
カスミの最大の使命ではないかと思っています。
「1円共感宣言」など、私たちは茨城の小売業の
リーディングカンパニーとして、
地域市民へメッセージと具体的なアクションを行い続けています。
(<しかし、この不況下で1円共感宣言のように
単価を下げることは大変なのではないでしょうか?)
いえ。私たちはこの不況を「今までのコストを見直す良い時期」と
プラス思考で捉えています。
今までの悪習で余計にかかっていたコストを削減することで、
お客様に還元することが可能です。
経営者は守りに入るのではなく、
「自ら危機を作り出す」ことが大切だと、
私は「蛻変(ぜいへん)の経営」という本で学びました。
この姿勢はぶれません。
Q.今後カスミはどのように変化していくのでしょう?
A.私どものコアビジネスは食料ですから、この部分を更に強化し、
地域のお客様からもっともっと選んでいただける企業に
なっていきたいです。
それは商品だけでなく、
私どもの理念を理解していただくことを通じてです。
また、農業の後継者問題に対して、
私たちは企業が自らやる段階に入ったのではないか、
と感じているので今後は農業ビジネスにも取り組んでいく予定です。
Q.最後に読者の方へメッセージをお願いします。
A.つくばは「筑波」と「つくば」によって成り立つ街だと思います。
前者は自然や人情、後者は新しい文化や国内外の刺激を受け入れて
発展するイメージです。
この2つが「ごちゃまぜ」ではなく、互いを残しあい、
主張しあう関係が大切です。
これをつなぐのが市民です。
皆さんのような市民が趣味に勤しんだり、学び続けたり、
街を考えたりすることでつくばはきっと良い街になると思います。
小濵様、ありがとうございました。
今後のご発展を心よりお祈り申し上げます。
<文責:染谷>