みなさん、こんにちは。つくばスタイル特派員のしらゆきです。
子どもたちにとって、待ちに待った夏休みですね!
時間に余裕のある夏休みは、普段は体験できないことに挑戦するチャンスです。いろいろなことに取り組んで経験を積んでもらいたいですよね。
つくば市では、子どもたちを対象に科学や自然をテーマにしたイベントがたくさん用意されています。今回はそのひとつ「2019つくばサイエンスラボ」の様子をお届けします。
「つくばサイエンスラボ」は、つくば市在住の小学4年生から中学3年にあたる9年生までを対象にした夏休み恒例のイベントです。自然・科学・歴史をテーマにした3コースから選べ、例年抽選になるほどの人気ぶりです。
この日私が訪れたのは、3コースのうちのひとつ「ロボットを指令通りに動かそう!」というもの。午前と午後の2部制で、併せて約80名の子どもたちが自分たちの手でロボットを操作して、その仕組みや作るための考え方を学びました。
今回会場となった茨城県立つくば工科高等学校は、創立92年目を迎えるという歴史と伝統ある高校です。つくばエクスプレス(TX)みどりの駅から車で10分ほどのつくば市谷田部にあり、機械科・ロボット工学科・電気電子科・建築技術科の4学科に分かれています。
この日はつくば工科高等学校ロボット工学科のロボット部の生徒が講師となり、普段からロボットについて勉強している高校生が子どもたちに教えてくれました。
会場にはテーブルごとにハサミ、両面テープ、方眼用紙などの文具が置いてあります。そして、ロボットと一緒に置いてある大量の飴。これを一体どう使うのでしょうか?
ここにある文具類を使って、ロボットの腕に取り付ける部品を作り、飴をたくさんすくえるようにすることが今日のミッションです。
スタート地点からロボットを動かし、奥にある飴をすくって、スタート地点まで戻ってゴールです。途中にはロボットの行く手を阻む段差があり、これを乗り越えなくてはなりません。
ここにあるロボットには、手にあたる部品がなく、このままでは飴をすくうことはできません。工作した部品をとりつけ、たくさんの飴をゲットできるように工夫します。
なんとこのロボットは工科高校で製作されたそうで、タブレットを使って指先で簡単に操作できます。
小学校からプログラミング教育が始まっているつくば市の子どもたち。何の問題もなく、すぐにタブレットでの操作方法をマスターしたようです。
前進、後退、ターンなどタブレットの画面をタップするだけでロボットが目の前で自在に動き、子どもたちは「すごい!」と興奮した様子でした。
まずは、よくロボットの動きを確かめて、計画を練ります。ロボットを自分で操作して、望むような動きをしてもらうにはどうしたらいいかをじっくり考え、それをイラストやメモにまとめていきました。
イメージが固まったら、実際に工作です。ロボットに定規をあてて長さを測り、方眼用紙で部品を作っていきます。
作業が進むにつれ、実際に工作した部品を取り付けて、ロボットを動かしてみるグループが増えてきました。テーブルに1台のロボットをグループのみんなで共有して使うため、順番に協力しあって使う必要があります。
「あー」「残念!」「やったー!」会場のあちこちから落胆の声や歓声があがっていました。
工作したアームに飴がせっかく載っても、ロボットが段差を通過するときに、衝撃で飴が落ちてしまうものが多くありました。飴の重さに耐えられず、工作部品自体がロボットから外れてしまうものも。
段差を乗り越えるためには…。飴の重さに負けないよう強度を増すためには…。これらが大きな課題です。
ここで大事なのは、失敗したとき。何がいけなかったのか、どうすればもっとたくさんの飴を運べるのかを考える必要があります。
失敗から学ぶことは多く、次に生かすことにつながります。
Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Action(改善)の「PDCAサイクル」を今回は自然な流れの中で学ぶことができました。
テーブルごとに高校生がアドバイザーとしてついてくれ、困ったときにはサポートしてくれます。
「ここの強度をもっと上げるには、どうしたらいいかな」
「1個飴がとれたね。次は2個以上とれるようにするにいはどうしたらいいだろう」
結論を急ぐのではなく、子どもたちのペースに合わせて、自分で考えるように導いていくところはさすがです!お互いに年齢が近いこともあって、高校生が親しみをもって子どもたちに優しく接していました。
最後にはグループの代表者が工作したものを発表しあい、どこに工夫を凝らしたか、苦労したところをコメントしました。
発表を聞いていると、それぞれ違った発想が随所に見られ、子どもたちの自由な発想に「なるほど」と思うことも。
大きなスコップのような形の部品を取り付けたグループは、なんと一度に10個の飴を運ぶことができたのだとか。その他にもショベルカーのバケットをイメージしたり、段差で飴が落ちないようにギザギザの加工を施したりと、グループごとの細やかな工夫に感心しました。
参加した小学6年生に話を聞いたところ、「初めはうまくいかなかったけれど、高校生からアドバイスをもらって、ちり取り型の部品を取り付けて成功しました」と話してくれました。
このちり取り型の部品は、初めはロボットのアームからはずれやすかったそうですが、アドバイスを受け、さらに補強を加え、強度を高めていました。
これには、高校生も「小学生でこの発想が出るのはすごい!」と驚いていました。
最後の質問コーナーでは、子どもたちの多くがロボットに興味を抱いたようで、「このロボットは自分でも作れますか」「どれくらいの期間で作れますか」といった質問がありました。
今日使ったロボットと同じものではありませんが、似たようなロボットはキットで市販されているそうで、慣れている人ならば4時間程度で組み立てられるのだそう。夏休みの工作や自由研究でじっくり取り組んでみても楽しそうですね。
この日参加した子どもたちが大人になる頃には、さらに日常生活に深い関りを持つであろうロボット。今日の体験が未来を考えるきっかけになったかもしれませんね。
研究学園都市であるつくばにおいて、科学を「楽しみながら学ぶ」体験学習を得られる機会であり、これからも継続してほしい取り組みです。
以上しらゆきがお届けしました。