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「とりあえず、食べてみる。」

いとう Blog 
2010年06月11日

大学といえば数奇者の多いところで、
特に生物屋と呼ばれるような分野に属する人間はありとあらゆる物に対する好奇心が非常に強い。
何にでも興味を示し、それについてあれやこれやと調べたくなる。
ワタクシ伊藤も例に漏れず、
例えばその昔付き合っていた女の子と植物園に行ったときなどは、
女の子そっちのけで植物に夢中になってしまい、
枝と葉のつなぎ目や葉の形、花の形、葯の形などありとあらゆるものを観察していたので、
「まだなの?遅い!」とお叱りを受けていた事もしばしば。
そんな生物屋である僕らが往々にして関心を抱くのが”食”であり、
多くが美食家であったりする。
というのも、例えば、この組み合わせで調味料を料理に加えたらこういう味になって、
その中で最適な組み合わせはどれか?
といったような事を考え実践するプロセスは、
科学者が研究において実践しているそれと非常に似ており、
また、未知の食材に関してそれがどんな味なのか、
果たして食べる事ができるのかという興味は大いに生物屋を引きつけるのだ。
以前本ブログでも紹介した事があるかもしれないが、
僕などは、カサゴの腹を捌いて出てきた卵をイクラのように醤油漬けにして食べたり(美味しく頂きました)、
シンガポールで購入して半年間放置し、
気がついた頃には謎の微生物が瓶の中で浮いていたビールを飲んだり(大変美味しく頂きました)、
ブドウの皮から酵母を採取して果物を発酵させてみたり(失敗しました)と色々と実践している。
僕が大学で所属している研究室でもやはりそういった人が多く、
先日、研究室の同期が「○○さんサクランボ食べてたよ。」と話していたので、
てっきり佐藤錦など、いわゆるスーパーで売っているものを想像して、
「一つ頂けますか?」と当人にお願いしたところ、
アスファルトからひょいっと、黒ずんだ果実を拾い上げて僕に渡した。
僕が困惑した表情で固まっていると、
「そのさくらんぼだよ。」と言って彼の後ろにあった木を指差した。
見るとそこには今春きれいな花をつけていたソメイヨシノの木。
そう、彼が僕に渡したのは桜の果実。
たしかに、さくらんぼだ。
とは言え店頭で並ぶようなものとは違い果実は小さく、色も黒い。
果たして美味しいのだろうか。
今回地面に落ちていたものであったので僕は食べるのを断念してしまったが、
彼がむしゃむしゃ食べていた様子を見るに意外といけるのかもしれない。
僕もあのとき一緒に食べていたなら、
ひょっとしたら、また新しい食の世界が広がっていたのだろう。
せっかくの機会なので、今度木に成っているやつを一つ拝借してみようと思う。
こんな風に大学には一風変わった人が多く、
生物屋には未知の食材への探求者がひときわ多い。
皆さんも、彼らに出会い、彼らの食材探しの現場に出くわすような事があれば、
是非とも勧められたものを素直に食べてみてはどうだろうか。
きっと新しい世界が広がるはず。
もちろん、食べた後に起こるかもしれない体の変化については、
あくまで自己責任でお願いしたい。
それでは、今回はこの辺で。
<文責:伊藤>

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