豊かな自然と肥沃な土地に恵まれた茨城県。国内屈指の農業県であるこの地で出合う、「食」の向こう側を想像したことはあるでしょうか?
熱意と飽くなき探究心を持った生産者、伝統を継承しながらも新たな価値を模索し続ける職人、食の理念をも輸入するプロフェッショナルなど、「おいしい」の一言のために情熱を傾ける人たちの姿があります。
ただ味わうだけじゃない、見て、知って楽しむことのできる食の世界へと誘う「おいしいミュージアム」をご紹介します♪
舞台は、TXつくば駅から車で5分ほどの場所にある筑波学院大学の付属図書館。図書館カフェとして、3月10日まで期間限定でオープンしています。
カフェのコンセプトからメニューの考案、運営を担うのは同大の学生20人。筑波学院大学経営情報学部ビジネスデザイン学科・塚原正彦教授のゼミ生で、「人が集まる“おいしいプロジェクト”をデザインしよう!」と、昨秋からプロジェクトを始動。食や物づくり、デザインの専門家を招いた講座や農家や陶芸家などを訪問調査するなど、「地域デザイン学芸員」としての学びながら準備を進めてきました。
カフェで提供されるのは、同大の敷地内にあるフレンチレストラン「カフェ・ド・グルマン」と共同開発した、県特産の焼き芋やイチゴ、レンコンそのものの旨さを生かしたスイーツ。
また、読書に欠かせないコーヒー、イタリアをはじめ各国から食品を輸入するヴィナイオータがセレクトしたワインなども味わうことができ、笠間焼の窯元と共同開発した美しいプレートやマグが選りすぐりの「食」を引き立てています。
カフェ好き、本好きな私としては図書館カフェという空間だけでも胸キュンですが、おいしい出合いを演出するだけにとどまらないのが、ミュージアムを謳う所以。その先に広がる世界へと誘う仕掛けの数々に、知的好奇心がくすぐられます(*´ω`*)
パネルに飾られた写真は、大学に寄贈されたクラシックカメラを用いて学生自ら撮影したもの。美しくも力強い写真からは、みなぎる生命力が伝わってきます。更には、生産者のこだわりなど調査内容を分かりやすくまとめた絵本も展示。
「茨城には魅力的な食べ物は色々あるけれど、おいしいと感じる以上のことを考えたことはありませんでした。だけど、それを作り出すために、生産者の人たちがどれだけ情熱をかたむけ、こだわりを持って向き合っているのかを知ったとき、その物に対する価値感が変わりました」そう話してくれたのは、プロジェクトに関わった3年生の学生さん。
今、目の前にある食べ物の背景を知ること。それは、食べる悦びだけでなく、飽食の時代に生きる私たちの意識そのものを変えるきっかけにもつながるのかもしれません。
また、飲食スペースにあるテーブルの上には、食への造詣を深める約120冊の関連書籍が並びます。向かい合う席の間隔をずらすことでプライベート空間は保ちつつ、ひとつながりの大きなテーブルを配置することで自由な交流をも育む。知に触れて場を楽しむ、図書館の新たな価値がデザインされています。
各席には、並んだ本の中から抜粋した「おいしいことば」がランチョンマットのように置かれていたり、空間を決定づける印象的なデコレーションが天井に施されていたりと、アートな空間も魅力的♪
筑波学院大学の図書館は、TXつくば駅からペデストリアンデッキを散歩しながら向かうこともでき、またフロアの一角には、のんびりと足を伸ばせるスペースもあるので、親子でのお出かけ先としてもおすすめです(*^^*)
「これからの学芸員は地域の宝を展示するだけでなく、実際に普及させる方法を考えることが大事。新しい価値が生まれる場所になれば」プロジェクトを牽引した塚原教授の言葉通り、さまざまな可能性が込められた「おいしいミュージアム」。
今回のプロジェクトを皮切りに、同大では4月から「地域デザイン学芸員」の一般募集をスタートさせる予定。多様な価値感を持った人が暮らすこの街で、今後どんな価値が創造されていくのかが楽しみなみっきぃでしたᕕ( ᐛ)ᕗ
【おいしいミュージアム】
会場:筑波学院大学付属図書館(茨城県つくば市吾妻3-1)
営業期間:2月22日~3月10日まで ※日曜休館
営業時間:11時半~16時
問い合わせ:TEL 029-858-4811(筑波学院大学)