つくばで暮らす人～手織人・酒寄剛史さん～

家族で暮らす場所を探して
仕事の都合で転勤になって
通学先がつくばにあってなど、移住の理由やその場所の決め手は人それぞれ。

 

つくばエクスプレス開通に伴う街の発展により、多くの人が転入してきているつくばエリア。さまざまなバックグランドを持つ人々の価値観が融合し、新たな価値を生み出していくこの街に住まいを移した人たちは、何を思い、感じながら暮らしているのでしょうか。

 

今年の春からつくばへ住まいを移した、とある手織人を訪ねて自宅兼アトリエへお邪魔してきました。

 

 

つくばエクスプレスつくば駅から車を走らせること20分。やってきたのは、筑波連山を望み豊かな自然が広がるつくば市作谷。

 

雨続きだったその週、久しぶりに晴れ間がのぞいたこの日。道路では目を細めてくつろぐ猫、自宅の畑の手入れをする人たち、学校から響く子どもたちの元気な声。

 

ほのぼのとした空気が流れるその街を車で進んでいくと、笑顔で出迎えてくれたのが、さをり織り作家の酒寄剛史さん。

 

この街で生まれ育った後、都内に住むこと十数年。ここ数年、都内で暮らしていても「つくば」というワードを耳にする機会が段々と増えていき、外から入ってくる情報で故郷の変化を感じるようになっていったそう。

 

豊かな自然環境、自宅の畑に実る自然の恵み。

 

 

つくばにいた頃は、当たり前すぎてあまり気に留めてこなかった環境や物への見方が徐々に変化していき、自然な流れで生活拠点をつくばに移すことを決意していました。

 

 

自然の力を借りながら、自分たちが食べるものを作る。豊かに流れる時間のなかで、その土地を丁寧に手入れしてきた母の背中を見ながら作物を育てることにも注力をしていきたいと、はじけそうなくらい大きく、エネルギーに満ちた緑色のオクラを嬉しそうにもぎって味見させてくれました。

 

季節を教えてくれるかのように花開く植物、実りを迎える作物を眺める自宅の2階に、酒寄さんが作品づくりをしているアトリエがあります。

 

個人的な自己表現の方法として生みだされた「さをり織り」は、自分を織るもの。上手い下手ではなく、作り手の感性や個性そのものを紡いでいきます。

 

 

紡績工場の残糸を使うため、紡いでいく糸も一期一会。

 

 

決められたものを作るのではなく、受け取る人のイメージや雰囲気を丁寧に思い浮かべながら、一つひとつを丁寧に作るその姿勢は、人との出会いや繋がりを大事にする酒寄さんそのもの。

 

作品を手にする人、袖を通すただひとりの人のために、感性のままに、思いのままに…

 

2010年からさをり織りを通じて活動を続けてきた酒寄さんのなかで、段々と確かになってきた「伝えたい」という想いを込め、新たに立ち上げたのが「tsutae（ツタエ）」というテキスタイルブランド。

 

 

織りを通じて物を作ることの喜びを伝え、共有していきたい。

 

「tsutae」の先に待つ人との出会いを、そこから生まれる新たな輪を楽しみに歩みはじめている酒寄さん。

 

今後、つくばでもワークショップなどを行う機会があるそうで、私もすごく楽しみです♪
10月末には、つくばエクスプレスつくば駅からすぐの会場で開催される県南地区最大のアート&クラフトマーケット「つくばスローマーケット」への出店、また、11月初旬には県内での初個展をつくば市吉瀬にあるつくば文化郷で予定。

 

「つくばエリアで暮らす人たちに、織ること、作ることの楽しみが伝えられれば」その日を心待ちにしている様子で嬉しそうに話してくれました。

 

面白く興味深い話に聞き入り、一糸一糸に感性が込められた作品に見惚れ、酒寄さんの腹時計が鳴るまで長居をしてしまった私。ご主人との遊びの時間を取られた黒猫のアオくんにちょっぴり嫉妬されてしまった（！？）みっきぃがお届けしましたᕕ( ᐛ)ᕗ

 

 

手織人　酒寄剛史さんのホームページ
http://tsutae.link/