つくばを走る大動脈のひとつ、西大通りへと車を走らせたら、いくつかの小道を抜け住宅街へ。ラベンダー、ローズマリーにセージなどハーブの爽やかな香りが鼻をかすめる、静かに佇む小さなログハウスに胸が高鳴る。
そこは毎週木曜日、それも午後の間だけ扉が開かれる古本屋「女子系古書部」。
建物がこの場所で刻んできた時の長さを知らせるかのように程よく味のある金具の取っ手に手をかけた木の扉の向こうには、店主がセレクトした人文・哲学・農業・美術・暮らしなど多岐に渡るジャンルの古本約1,000冊が並んでいます。
きちんと陳列された棚に並べられた本。読み応えのある分厚いものから、絵本やサブカル系の本も並ぶが、そのどれもが書き手の意志や主張がはっきりと感じ取れるもの。
とっておきの1冊、もしかしたら今後の人生にも大きな影響を与えるかもしれない本との“出会い”がそこにあるような気がして、うずうずと生まれる好奇心を止められないでいる。
今日はどんな曲を聴きたい気分だろう♪毎日の音楽を選ぶように、その週に読む本を選ぶ木曜日。毎週その日がやってくるのを楽しみにさせてくれた場所です。
お店を営むのは市内在住の陶芸作家・兼子美由起さん。普段は自身の作品づくりを行うアトリエ「miuconeant(ミウコネアン)」として利用していますが、女性でもふらっと足を運びやすい古本屋さんがあればと数年前に「古本」の看板をかけました。
「本探しの楽しみは、その“出会い”にこそある」と美由起さん。というのも以前、家族でイギリスに住んでいたときのこと。とある本屋の前を通り過ぎようとしたとき、窓越しに見えたジョルジョ・モランディ(20世紀前半に活動したイタリアの画家)の画集に強く惹かれ、目が離せなくなったそう。
それこそが、陶芸作家として作品づくりをする現在へと繋がる「1冊」との出会いだったと昔を振り返ります。
人はどうして、本を探すのか。その目的や読みたい内容が明確なこともあれば、不思議と目に留まり手に取っている1冊もある。だからこそ、本探しの楽しみは尽きない。
ここへ足を運ぶ誰もが、そんなワクワクした予感を胸に木曜日を心待ちにしているのかもしれません♪
燦々と陽が差し込む窓側に用意された、読書空間。
優しく漂うアロマ、静かに美しく存在感をもつ美由起さんの作品、スピーカーから微かに漏れ聞こえるエミリー・ポートマンの歌声…すべてが心地よく、溢れる出てくる好奇心のままに読書に没頭することができます。夢中になりすぎる余り、一冊読破してしまう人もいるのだとか。
好きな本を、好きなだけ。そんな心遣いが嬉しくて、長居してしまうのも納得です。
門戸を広げ、本と人との出会いの扉を開いている「女子系古書部」ですが、時にログハウスを飛び出してその活動の場を広げています。
来る2月18日・19日につくば市内にあるギャラリー・メモリーズで開かれる「BOOK FES.@MEMORIES―自主的インデペンデント店主たちによる古本市―」では、中心メンバーとなって市内在住の出店者たちと共に準備を進めている真っ只中。同じ街に住んでいるという共通点はあれど、考え方や暮らし方、趣味もそれぞれ。一体どんな本が並ぶのか、今から開催が楽しみです♪
「地域内で同じ本を読み継いでいくということが、ひいては文化の共有へと繋がっているのだとしたら、こういった機会が場所を移してさまざまな地区で開かれる本気の遊びになって欲しい」とワクワクした様子で話してくれました。
高校生の頃、クラス内で漫画を回し読んではワーキャー言いながら感想を交わしあった楽しい記憶をぼんやりと思い返しながら、つくばで始まろうとしている大人たちの本気の遊びに胸踊らすみっきぃなのでしたᕕ( ᐛ)ᕗ
【女子系古書部】
住所:茨城県つくば市小野川8-13
営業時間:毎週木曜日13:00~18:30ころまで(但し臨時休業の場合もあり。HPやTwitterなどで営業状況をご確認ください)
【BOOK FES. @ MEMORIES GALLERY】
開催日時:2月18日(土)・19日(日)11:30~17:00
会場:メモリーズギャラリー(茨城県つくば市大角豆2012-788)
Tel:029-852-8786