みなさん、こんにちは。つくばスタイル特派員のしらゆきです。
地元に息づく歴史的建造物を見学できる施設がつくばみらい市にあるのをご存じでしょうか。
歴史に興味を持ち始めた小学生の息子を連れて訪れました。
つくばみらい市谷井田にある「結城三百石記念館」は、この地の豪農であった結城家の家屋や蔵などがつくばみらい市に寄付され、それを無料で見学できる施設です。
建物だけでなく、結城家で代々使用されてきた昔からの民具類の展示や庭を見学することができます。
博物館などでよく見られるガラスケースの中ではなく、蔵や母屋の中に展示されているので、当時の雰囲気のまま、実際に使用されていた様子がよくわかるようになっています。
地元の小学生が授業の一環で見学に訪れることもあるそうで、地域の歴史を学ぶのにまさにぴったりな場所ですね。
結城家は、戦国時代に現在の茨城県結城市に本拠を構えた結城氏の流れをくむといわれ、江戸時代にこの場所に帰農したのだそう。
江戸時代には名主として、また明治初期には戸長として地元へ貢献してきた結城氏。つくばみらい市のこの場所から、隣接する茨城県取手市のあたりまで、結城家の土地であったというから驚きです。
庭は、自然観察路として整備され、四季折々の草花や野鳥、虫を見ることができます。
竹林は、防風林としての役割はもちろん、竹細工として用いたり、春にはたけのこを食用とするなど、生活に結び付いた使い方があったのだそう。ひとつのものがさまざまな用途に利用され、昔の暮らしの知恵が見られます。
庭で大きく枝を伸ばした樹齢300年を超えるヒノキ。その大木の高さと幹の太さに息子もびっくり。以前は庭にもっと多くのヒノキの木があったそうですが、戦時中に供出されたのだとか。残されたヒノキは、この地でさまざまな歴史を見てきたのでしょうね。
建物は、母屋、長屋門、蔵があり、母屋は江戸時代の元禄の頃に建てられたのだとか。
母屋の座敷の正面には、「式台玄関」とよばれる正式の玄関が設けられています。
身分の高いお客様をお迎えする玄関で、結城家がそのような方々をお迎えする屋敷であったことがわかります。
時代劇のワンシーンに登場するような、何とも風格ある佇まいです。
母屋の土間に一歩足を踏み入れると、懐かしい土の香りに包まれます。
今となっては珍しい土間ですが、子どもの頃に遊びに行った祖母の家の土間を思い出しました。
土間には、当時使われていた民具が多く置かれています。「これは何に使うんだろう?」と息子は興味津々。
大木をくりぬいて作られたと思われる臼と杵が2セット展示されていて、その使い道を聞くとびっくり。
ひとつは、餅つき用。そして、残るひとつはなんと麦用!麦用の臼には淵に突起があり、麦が外へこぼれないようになっています。
母屋の土間の天井にあるのは、何本もの自然木がそのまま横たわった重厚で見事な梁。木の反り具合をうまく利用して組まれた梁は、当時としては、内装に凝った造りなのだとか。このような太い木を天井まで持ち上げるだけでも、当時は相当な苦労だったことでしょう。
その梁の天井裏では、当時養蚕が行われていたそうです。
現在も館内に手動の機織機があり、地元の団体が織物に利用しているのだそう。
母屋の座敷には、たくさんの調度品が展示されていました。その中に見たことのある家紋が…。これはまさしく徳川家の葵の紋!
結城家が徳川家ともつながりのあったことがわかります。
江戸時代後期に建てられたという「長屋門」は、当時では一般に禁じられていた“せがいづくり”という手法がみられます。これは、格式ある家の象徴なのだとか。
その南側には、味噌や醤油の醸造に使われてきた場所があり、樽などが置かれています。長年使われていたので、醤油やみその香りが漂う場所です。
このような堂々たる長屋門を構えることのできた結城家の豪農ぶりをうかがい知ることができます。
長屋門のすぐ隣にある「一の蔵」には、稲作のために用いられた農具類が展示されています。
軒につるされた「田舟」は、田植えのときに苗を乗せて田に浮かべられた木の舟。近くに小貝川が流れ、水害の多いこの地域では、いざというときの避難の役割も担っていたのだそう。
そのほかにも、昔使われていた木製農具など、息子は初めて見るものばかり。スタッフの方の解説に耳を傾けていました。
母屋の裏に位置する「二の蔵」は、長持や衣装箪笥、つづらなどが収められています。
豪農を象徴するような当時としては珍しいものも展示されていましたよ。
たとえば、取っ手のついた工具箱のような入れ物。何に使うのかというと、中に炭を入れ、お酒を燗にできるという優れものです。さらに料理を入れる引き出しがついており、花見など屋外での飲食時に用いられたのだそう。
今でいう保温機能付きピクニックセットでしょうか。当時としては画期的だったことでしょう。
その他にも、鮮やかな色で彩られた「嫁入り鞍」や明治期の消火用手押しポンプ「雲竜水」など、珍しいものがたくさん。
雲竜水は、竜吐水ともいわれ、江戸時代の消火器です。ホースから竜が水を吐くように見えたことから名づけられたのだそう。
豪農である結城家ならではの生活用品が多数展示されています。
市によって建てられた資料収蔵庫には、江戸時代初期からの文書類が5千点以上保管され、その一部が公開されています。
結城家に伝わる古文書や昔の教科書が見やすいようにケースに収められた状態で見学できます。
「昔の教科書は分厚いね」と息子。展示されていた古い教科書は、確かに今のものとは違いますね。
ちなみに、三百石とはどれほどのものなのか。スタッフの方が私たちにもわかるように説明してくれました。
今でいうと、米750俵。…まだピンときませんね。私たちに馴染みのある米袋でいうと、なんと1500袋!
当時の技術で、それほどの米を収穫できる土地を保有していたのがこの結城家ということですね。
これほど歴史的に興味深いものを見学できる施設が身近にあることを初めて知りました。
子どもはもちろん、私も初めて見るような民具類の数々に、当時の生活に思いを馳せ、時間をさかのぼったかのような感覚でした。
歴史を感じる場所として、家族そろって訪れてみてはいかがでしょうか。
以上、しらゆきがお届けしました。
■結城三百石記念館
所在地:つくばみらい市谷井田1647
電話:0297-58-8822
開館時間:9時~16時30分
休館日:毎週月曜日(祝日の場合、その翌日)、年末年始
入館料:無料