こんにちは。染谷です。
題名に驚かれた方もいるかもしれませんが、本当です。
2009年7月12日に、つくばにオリンピックがやってきます!
ただ、皆様には馴染みの薄い「国際生物学オリンピック」という大会です
のでご存知の方は少ないと思います。
そういう読者の皆様のために
今回は国際生物学オリンピックの実行委員長を務める沼田治先生に
お話を聞いてきました☆
沼田 治 博士(理学)
筑波大学大学院 生命環境科学研究科 教授
※実は染谷も大学時代、細胞学をはじめとして様々な講義を受けた恩師です。
<染谷>沼田先生、最近大学近辺で「国際生物学オリンピック」の垂れ幕
を良く見るのですが、どういったイベントなのですか?
<沼田先生>国際生物学オリンピックは1990年にチェコのプラハで
6カ国が集まり第1回が開催されました。
生物好きの中高生が一堂に会し実験試験と理論試験で
優秀さを競うコンテストで今年で20回目の歴史あるイベントです。
生物学に興味を持つ少年少女の才能を掘り起こし、育成したり
生物教育の情報を交換したりすることが主な目的となっています。
今年は56カ国が選手を派遣して参加し、
6カ国はオブザーバーとして参加します。
日本は2005年の中国大会から参加しているので、
今年で5回目の参加になります。
<染谷>2005年から5回目ですか?スポーツのオリンピックのように、
4年に1度ではないのですか?
<沼田先生>そうです。国際生物学オリンピックは
『人材教育』を主眼にしているので、
毎年開催し、より多くの才能を発見することに務めています。
メダルに関しても成績上位から概ね10%、20%、30%に
それぞれ金メダル、銀メダル、銅メダルを授与しているんですよ。
<染谷>なるほど、現在日本はどれくらいのメダルを
獲得しているのですか?
<沼田先生>以下の図のように毎年少しずつ、
メダルの獲得数や色を伸ばしています。
しかし、学生が参加して得られるものはメダルだけではありません。
この大会に参加して多くの学生が
「自分って英語喋れないんだな」とか
「パーティーで人に話しかけられないんだな」等と
英語力の不足を痛感したり、
各国の参加者と友情の輪を広げたり、
大学教員から刺激を受けたりしています。
私もこれまで2度の大会に関わりましたが、
参加する学生の表情が大会へ行く飛行機の中と、
大会から帰る飛行機の中では大きく違って見えました。
現在は参加した学生たちがOB会を作っていて、
学生同士の縦のつながりも出てきています。
<染谷>とても意義深い大会なのですね。
しかし、なぜそのような大会が日本に、
しかもつくばに来ることになったのでしょうか?
<沼田先生>もともとの予定としては
2015年に日本初の開催を行う予定でしたが、
2009年開催を決めていたギリシャが
2006年12月に開催を断念したためその枠が空きました。
そのため、1~2月に日本での開催が打診され2007年3月22日に
日本開催が決まりました。
つくばが、そして筑波大学が大会開催地を受けた理由としては、
この大会に参加した優秀な学生さんたちが、
本学を受験してくれること(人材育成)や、
この大会を契機につくばの研究学園都市が有機的に結びつき、
大きな力を生むのではないか(人材交流)と考えたためです。
実際に今現在、多くの大学でこのオリンピックを通じた入試が
行われており、本学にも今年メダリストが入学しました。
彼らは生物学に深い興味を持っているだけでなく、
「キャンベル生物学」という1494頁にも及ぶ教科書で
幅広い生物知識を見につけた優秀な学生たちです。
筑波大学の教員側も、
これまでのように大学内に目を向けるだけでなく、
外部に目を向け高校の先生方と交流したり、
小学生や中学生とコミュニケーションを取る
若い先生方が増えています。
また、国際生物学オリンピックの準備で
教員同士の連帯感が日に日に高まっていることを感じます。
当日はかなりの盛り上がりを見せることと思いますので、
ぜひ、国際生物学オリンピックに注目してください。
詳細は大会公式ホームページhttp://ibo2009.org/index_j.htmlをご覧下さい。
<文責:染谷>